私は第2回の定例会で、日本共産党都議団を代表して質問を行いました。
1 ウクライナ危機のなか、平和への姿勢が鋭く問われた定例会
ロシアのウクライナ侵略が長期化するなか、国連憲章に基づく全世界の団結でプーチン政権を包囲し、一刻も早く戦争を終わらせることが求められています。それだけに今定例会では、平和への取り組みが鋭く問われました。東京空襲の証言ビデオなどの資料の活用・公開にむけ、都が動き出したことは貴重な前進です。この問題を、ほぼすべての会派が取り上げたことは、当事者や遺族にとって大きな励ましです。わが党は平和祈念館建設にむけ、ひきつづき力をつくします。
一方、米軍横田基地の大規模な実践的訓練や基地機能強化、軍事同盟の強化について、知事は国の問題だと言うだけでした。都民の安全にかかわる問題だと言う認識がまったくありません。また知事は、いまや全自治体の92%に広がっている非核平和都市宣言を、「行う考えはない」と答弁しました。憲法9条をもつ、戦争被爆国日本の首都の責任者として、その資格が問われることを厳しく指摘するものです。
都民ファーストの会は、2021年第1回定例会で核兵器禁止条約の批准を求める請願に反対しましたが、さらに、今定例会代表質問で荒木ちはる都議は、核シェルターの整備を知事に求めました。核兵器の使用を前提としたものであり、許されません。
2 深刻な物価高騰から都民のくらしと営業を守り抜く緊急提案
わが党は代表質問で、深刻な物価高騰から都民のくらしと営業を守りぬく緊急提案を行いました。知事提出の補正予算には賛成しましたが、くらしと営業の支援も、コロナ対策も、きわめて不十分です。
都立学校の学校給食費への補助1千万円が補正予算に組まれたのは重要ですが、1食あたりわずか3.5円であり、食材料費の高騰に対してあまりにも少なすぎます。都の支援を、すべての学校に広げ増額することを求めました。
またわが党は、学校給食の無償化を国に要請するよう求めましたが、知事は答えませんでした。一方、都議会では、学校給食への更なる支援を国に強く要請する意見書が、全会一致で採択されました。この意見書を知事は重く受け止めるべきです。
今年度の国民健康保険料(税)は、多くの自治体で大幅値上げになり、今月から各世帯に通知が届きます。都として緊急に負担軽減の手立てを取ることを強く求めました。
コロナ禍と物価高騰にあえぐ公衆浴場に対し、知事が補正予算を組んだことは評価できますが、燃料代への直接補助など、さらなる支援が必要です。
八王子、国分寺の労政会館は、年間約38万人が利用していました。都民・労働者の大切な施設にもかかわらず、利用者の意見も聞かずになくすことは許されません。
一方、1兆円も内部留保のある東京ガスなどに12億円も減税する議案が、全国知事会も反対を表明していたのに、わが党を除く賛成多数で可決されました。このような大企業減税ではなく、都民のくらしと営業を守るために効果が広く早く及ぶ消費税減税や賃上げを国に要請するよう、強く求めました。
3 都立・公社病院の7月1日からの独法化は中止を
独法化中止を求める都民からの署名は合計40万人分を超えました。理解と納得など得られていません。
先行して独法化された東京都健康長寿医療センターでは、2018年度に常勤医師が14名も減ったにもかかわらず、今年度までに5名しか補充できていないことが、答弁で明らかになりました。知事は、独法化で安定的で柔軟な人材確保ができると言いましたが、実態は真逆であることがはっきりしました。
わが党は、不採算医療を担い、コロナ禍でかけがえのない役割を果たしている都立・公社病院の独法化は中止し、都が責任もって拡充・強化することを強く求めました。
4 都民の願いと相いれない外環道工事、神宮外苑再開発は立ち止まれ
外環道の工事は、調布の陥没事故に続いて練馬区大泉でも事故を起こし、再び工事停止となりました。国とネクスコには工事を進める能力も責任感もないことが改めて浮き彫りになりました。ところが知事は、事業認可の取り消しを求めた質問に対し、答弁にすら立ちませんでした。住民の不安や怒りの声に全く応えようとしない態度と言わざるを得ません。外環道トンネル工事は中止すべきです。
神宮外苑再開発について知事が事業者に行った要請は、計画の抜本的な見直しや、都民・専門家との協議を求めるものではないことが、答弁から浮き彫りになりました。これでは樹木や歴史的な景観は守れません。施設の配置を含めた見直しを行うこと、都民・専門家との協議の場をつくることが必要です。
5 コロナ対策、教育・若者、気候危機打開など、都民要求実現に全力
<PCR検査> コロナ対策では、第7波に備えて感染拡大を防止する検査体制の強化を求めました。無症状者の定期検査で都が増やしている抗原定性検査は、PCR検査と比べて精度が低く、感染者の見落としが生じます。見落とすと感染拡大は防げません。無症状者の定期検査等は、精度の高いPCR検査を原則とすることが必要です。
<若者への支援> 若者が文化・芸術に親しめるよう、今年の春休みに観覧料を無料化するウエルカム・ユースが本格実施されました。これは、わが党が条例提案などにより提案してきたものです。わが党の代表質問に都は、若者が芸術に触れるための支援は大切だと答弁したことは、今後につながるものです。また、高校生世代以降の拠点であるユース・プラザの改善にむけた見直しにも着手することを明らかにしました。
<気候危機打開> 知事が再エネの普及拡大へ取り組みを強化すると述べたことは重要です。一方、新築住宅への太陽光パネル設置「義務化」の発言には、様々な疑問や反発の声がよせられています。説明が不足しており、「義務化」を一方的に押し付けられるように感じているのではないでしょうか。情報提供、説明をていねいに行い、都民の意見を十分に踏まえて進めるよう求めました。
電力逼迫を口実にした原発再稼働を、自民と維新が求めました。福島原発事故を忘れたものであり断じて許されません。知事は都のエネルギー戦略に原発はふくまないと明言すべきです。
<痴漢対策> 代表質問では、ほとんどの会派が痴漢対策を求め、東京で最も身近な性暴力の対策が政治課題となりました。また、都が痴漢対策として、関係機関と連携し、幅広く対策をとることを初めて表明したことは重要です。痴漢ゼロ対策会議の設置や鉄道会社などとの連携の具体化を求めました。
<英語スピーキングテスト> ベネッセコーポレーションの英語スピーキングテスト実施を11月に控え、批判の声が広がっています。最も重視されるべき公平性や採点の正確性の担保はありません。不受験の生徒の対応でも他の生徒の成績を参考に点数をつけるとされており、入試の根幹を揺るがす事態です。強引に進めるのではなく、立ち止まって、中学生の声を聞くよう求めました。
6 画期的成果――パートナーシップ制度、手話言語条例が、全会一致で可決
パートナーシップ宣誓制度が、全会一致で可決されました。都民の皆さんが前へと動かしてきた画期的な成果です。わが党は、祝福される制度になるよう力をつくし、手続きはオンラインと窓口の併用にすることを強く求めました。また、子どもの名前を記載でき、困りごとの軽減を位置付けたことは重要です。「利用者の声を聞き取り、適切に運用等を改善していく」との答弁もありました。今後、さらにより良い制度に改善していくことが大切です。
また手話言語条例が、すべての都議会議員共同で提出され、全会一致で可決されました。当事者団体が粘り強く求めてきたことが実を結んだものです。すべての会派が参加したワーキングチームで議論を重ねて条例案を作ったのは、都議会では初めてのことです。今後も、「多様な意見を大事にし」「よく議論して決定する」都議会への改革という公約の実現にむけ、力をつくします。
7月10日投票の参議院選挙は、平和と憲法にとっても、くらしと経済にとっても、日本の進路が問われる大事な選挙です。日本共産党は、平和でも、くらしでも、誰もが希望をもてる「日本をつくるために、全力をあげる決意です。