都議会第2回臨時議会が終わりました!
「知事が質疑する場がない異例の都議会」
今回の臨時会は、知事選直後の都議会であり、新型コロナの新規陽性者が再び大きく増えるなか、知事が提出したコロナ対策の3132億円の補正予算を審議するために知事が招集しました。
私が所属する厚生委員会をはじめ、5つの常任委員会で予算の審議を行いましたが、全体を通じて、知事が一度も答弁する場をもたないまま終わりました。
都議会の責任も問われる
日本共産党都議団は、開会日に知事出席の質疑を行う特別委員会設置の動議を提出し、立憲・民主クラブ、生活者ネット、自由を守る会の賛成を得ましたが、都民ファースト、自民党、公明党などの反対で否決され実現しませんでした。都議会の責任もきびしく問われます。
都内のコロナ感染者が急増
都内の新規陽性者は、6月末から連日50人を超え始めました。ところが知事は、「患者数が増加した3月と状況は違う」「医療提供体制は十分確保されている」と言いつづけ、都民と事業者に自衛・自己責任を求めるだけで、都として実効性のある具体策を実施してきませんでした。
その結果、感染拡大は止まらず、全国へと波及しています。都内の新規陽性者は、緊急事態宣言の時を上回り、連日200人を超え、先週木曜日は1日で366人に達しました。重症化のリスクが高い60代以上の陽性者も増えています。
感染症対策の原則を踏み外した小池知事
新たな感染拡大を招いた無策の小池知事と国の責任は重大です。これまで知事が進めてきた対策は「夜のまち 要注意」「感染防止徹底宣言ステッカーのないお店は避けていただく」のような、都民と事業者への自己責任の押し付けでした。早期発見・早期隔離という感染症対策の原則を踏まえた、科学的根拠に基づく対策が必要です。
① PCR検査の抜本的拡充を!
都と国が、今ただちにやるべきは第一に、PCR検査の抜本的拡充です。新型コロナは、無症状の感染者が多くの人に感染を広げる特徴があります。具合の悪い人や濃厚接触者だけ検査するのでは、感染拡大を止めることはできません。
小池知事は、5月末にようやく1日1万件の検査能力を整備する目標を掲げましたが、2カ月たつのにいまだ目標達成の見通しはありません。世界各国で、日本のようにPCR検査に消極的な国は、ひとつもないと言われています。
遅きに失したとは言え、これからでも、新規陽性者が多く出ている地域・業種の住民・従業員全員に対し、面的なPCR検査を緊急に実施すべきです。
また、病院や高齢者・障害者施設、保育園、学校での感染防止のため、新規入院・入所者への検査や、医療従事者、介護・福祉・保育従事者、教職員の定期的なPCR検査、陽性者が出た場合の濃厚接触者に限らない幅広い検査も必要です(厚生労働省 新型コロナ感染症に係る行政検査に関するQ&A下記参照)。
https://www.mhlw.go.jp/content/000649455.pdf
そのためには、1日1万件ではとうてい足りません。検査の抜本的拡大こそ、経済社会活動と感染防止を両立させる道です。国をあげた協力も求め、10日間に都内で数十万人規模の検査を集中的に行うことが必要です。4月に専決処分した予算5億円は、PCR検査機器の購入を行うものでしたが、いまだ執行できていません。また、都内のPCR検査体制の課題は、検体を採取する人員(医師・歯科医師・看護師・検査技師)と場所(コロナ外来・PCR検査センターなど)の確保です。しかし、今回の補正予算にはPCR検査体制の強化が入っていません。新たな予算を組むべきです。
② やっぱり、「自粛と補償はセット!」
第二は、感染が広がっている地域と業種を定めた、徹底した補償とセットにした休業要請です。
休業要請する場合に区市町村が支給する協力金が補正予算に盛り込まれたことは重要ですが、地域や業種によっては不十分です。事業者が休業に踏み切ることができる補償をすることが必要です。
「家賃支援給付金」も重要ですが、国制度の上乗せにとどまっています。また、都独自の支援の期間は3カ月と、国の半分です。国制度の対象とならない事業者の支援もふくめ、拡充を求めるものです。
知事は、各業界が定めている感染防止ガイドラインを満たしている店舗が「感染防止徹底宣言ステッカー」を掲示するよう呼びかけ、ステッカーを掲示していない「対策等が不十分な店舗等の利用を避けていただく」という発言を、くり返しています。しかし、ガイドラインに基づくチェックも、ステッカーの掲示も、事業者の自己責任です。
小さな店舗などは、ガイドラインを守りたくても守れない場合が少なくありません。そこに対し、きめ細かい支援をすることこそ行政の役割です。ステッカーを貼っていない店が悪い、その店を利用した都民が悪いと分断を招くような発言をするのでなく、行政の本来の役割を果たすことを、小池知事にきびしく求めるものです。
③ 医療体制の確保を!
第三は、医療提供体制の確保です。
杏林大学の山口芳裕教授は、都の会議で「東京の医療はひっ迫していない」というのは誤りであると明言されました。実際に、都内の重症患者は2週間で3倍以上に増えています。入院調整もきびしさを増し、入院や療養先が調整中の陽性者が約1000人に上っています。いまこそ、都立病院・公社病院などを活用した新型コロナ患者を受け入れる専用医療施設の整備に踏み出すべきです。
医療提供体制確保のためには、医療機関が直面している深刻な経営危機への支援が急務です。補正予算に、200億円の都独自の支援が盛り込まれたことは重要ですが、不十分です。新型コロナ感染症患者を受け入れた病院も、受け入れていない病院も、絶対につぶさない対策が必要です。国と都が協力して、医療機関への減収補填をはじめとした抜本的対策を行うことを求めるものです。
軽症者、無症状者向けの宿泊療養施設の確保を急ぐことも必要です。また、ケアの必要な方や子ども、障害者などが宿泊療養を行えるよう、特性や支援の状況などに配慮した細やかな対応を行うことも求めておきます。
④ 子どもたちの学びの保障も
学校の休校は、子どもたちの学習や成長・発達を保障するためにも慎重にしなければなりません。長期にわたる休校の影響は深刻であり、よりきめ細かく子どもたちに寄り添った対応が必要です。安心して通学できるためにも、校内での感染防止対策が不可欠です。過密状態の学級解消には、都として20人程度の少人数学級に向け踏み出すべきです。
外出自粛などにより家族が家にいる時間が長くなることなどによって、世界中でDVや児童虐待の被害が懸念されています。都が児童虐待やDV被害者の支援団体に対する支援を補正予算に盛り込んだことは重要ですが、たとえばDV被害者への支援を行っている団体からは、相談が増加し深刻化しているため、100万円では人の確保ができないという声が上がっています。行政の相談支援体制強化とともに、民間団体への支援をさらに拡充するよう求めておきます。
⑤ 今こそ、政治の在り方の転換を!
コロナ禍の下、これまでの都政のあり方が鋭く問われています。
すべてを市場原理にゆだね、公的サービスを切り捨て、自己責任を押しつける新自由主義からの転換が急務です。全国公私病院連盟の邉見会長は、「医療には本来、ゆとりが必要だが、それがまったくない。そこにコロナが襲ってきた」ときびしく批判しています。
公立病院の重要性が増すなかで、都立病院・公社病院を民営化に近づける独立行政法人化は許されません。保健所を減らし、職員も減らしてきた政策を転換し、保健所も抜本的に増やすことも必要です。
⑥ 都議会の閉会中審査を求めます!
今回の補正予算については賛成ですが、都の独自対策はごくわずかで、いまの深刻な感染拡大に対応する予算になっていません。
当面の対策強化とともに、コロナ後の新しい都政も展望して、これまでの税金の使い方を改めることが必要です。大型道路建設など、不要不急の事業は見直し、特定目的基金については条例改正もふくめコロナ対策に最大限活用すること、一般財源を投入している公共施設建設などの一部について都債の発行や減収補填債の発行など、検討することを求めます。
感染拡大の下、小池知事の姿勢と同時に、都議会の役割がきびしく問われています。このまま9月の第3回定例会まで閉会というのはあり得ません。
知事と徹底審議を行うための臨時議会の開催、閉会中の特別委員会設置、参考人質疑をはじめとした閉会中審査を行うことを求めるものです。