家族まるごとヤングケアラーへの支援を

今年3月、都議会では全会派で一致して東京都こども基本条例を制定しました。条例には、「こどもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした、こどもの権利を尊重し、擁護するための施策を推進する」と明記され、こどもの学ぶ権利を尊重するよう東京都に求めています。

 ヤングケアラーへの支援についても条例の理念にのっとり、子どもは権利の主体としてとらえ、子どもの最善の利益を保障する立場で取り組みを進めることが大切だと考えています。

2021年11月18日の厚生委員会

ヤングケアラーは表面化されていない問題

 国の調査から、本人も家族もヤングケアラーということの自覚がないなど、表面化しにくいことがわかりました。だから理解促進が必要ということです。これは、私自身も本当に実感しています。

 私が10年ほど前に訪問看護を行っていた乳がん末期の方は、日常的には息子に頭を洗ってもらったり、体を拭いてもらったりしていました。母子家庭で、義理の母も同居していましたが、重度の難聴で、意思疎通は高校2年生の息子が中心となっていました。私は末期がんの患者さんと、難聴の義理の母の様子はよく観察していましたが、息子については健康だし、特段問題視していませんでした。しかし、ヤングケアラーという状態が、子どもたちの大切な時間や成長の機会、学ぶ環境を制限することになるなど学ぶ中で、当時の息子にどういった視点でかかわればよかったのか、考えさせられました。

 ヤングケアラーの周囲にいる関係者一人一人が、ヤングケアラーの存在に気付くことや、支援を必要としている子どもであるという認識を深めておくことがとても大切です。東京都に対し「自治体・教育・福祉等のヤングケアラーを支える関係者と子どもが「ヤングケアラー」について深く認識を深めることが大切、と求め、都も理解促進のための方策を検討していく、と答弁しました。そのために、直接子どもの声を聴くことも要望しました。

「孤立を防ぐこと」が大切。

 私の友人は3人きょうだいのうち、友人以外の二人が神経難病で、母も難病になり、幼いころから家族のケアや家事を担って生活していました。父は家を出てしまい、2人のきょうだいは皆、20代で亡くなり、母も亡くなりました。その友人は「なぜこんな生活なのか、どうしたらこの状況が変えられたのか、当時は全く考えられなかった。周囲から聞かれても、これが当たり前だと思っていた。今になり、自分がなんで能動的に動けなかったんだろう?」と、自分を責めるように話していました。時系列をよく覚えていたので私が「なぜそんなに詳しく覚えているのか」をきいたところ、「みんな忘れられなかった。自分が忘れたら、家族が生きていたことを誰も証明できなくなると思った」と話していました。

 子どものころ、その年齢には重たすぎる負担を背負った経験は、その人の将来にも大きな傷として残ることがあるのだと感じています。ケアを担っているその時だけでなく、ケアラーとして生きたその人自身が、自分の頑張りを認められるような、理解の広がりが重要だと思います。

 精神疾患の親をもつ子どもの会こどもぴあの坂本拓代表は、家族会・自助グループの必要性について「耳を傾け、受け入れてくれると思える場」「安心・安全な場」と述べています。受け入れてもらえないだろう、わかってもらえないだろうと発信することをやめてしまう。そういった受け止めてくれる大人と出会えなかった、経験できなかったことも社会の課題ではないか、と述べられています。

 ケアが必要な家族がいるとき、それを家族の責任にするのではなく、家族まるごとケアの対象とする必要があります。自己責任ではなく、社会的連帯で支えあう社会を作っていくために頑張ります。

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